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 ある日曜日、家にいると、

「近所の町会事務所の庭で、空手をやっている人がいる」

 と、買い物から帰って来た母が教えてくれた。さっそくそこへ行ってみると、大学生らしい人が型の稽古をしていた。

 今なら他流派の人のでも、見てすぐ何の型だかわかるが、その当時はもちろん皆目見当もつかず、ただ、「きれいだ、カッコいいなあ」と思い、しばらく見ているうちに、自分もゼヒ空手をやってみたいという気持になった。

 その人は稽古を終えると私たち見物人に向かって、

「これから週二回、この町会事務所の二階で空手を指導するので、習いたい者は誰でも稽古に来るように――」

 と挨拶した。それを聞いて、私はまっさきに名のりをあげたわけだが、ここでこの大学生――名前を藤本さんというが、この人のことを手短に紹介しておこう。

 藤本さんは日大の理工学部に在籍し、空手四段、空手部の主将を務めており、流派は和道流で、柔道も三段ということだった。

 いま思うと、私が初めて空手の手ほどきを受けた人が日大理工学部の大学生であり、その後極真会館に入門して初めて指導を受けた中村忠先輩も、やはり日大理工学部の出身であった。不思議な縁というべきだろう。

 話がそれたが、町会事務所二階での稽古は夕方六時からで、まず柔軟体操から始まるが、極真会館のそれと較べるとだいぶ簡単なものだった。そして基本稽古は中段突きと前蹴りを各五十本――

 私が極真会館に入門して一番おどろいたのは、基本稽古だけで三十もあり、時間にして四十分もブッ通しでやることだった。のちにキックボクシングに転身した藤平先輩などは、各百本ずつ基本をやったことがあったが、こういう荒稽古が極真会館の強さの秘密であろうと思う。

 極真会館と藤本さんの教え方との決定的な違いは、突きの引き手が乳の横ではなく、腰の横であることだった。また、回し蹴りは顔面を狙わず、ほとんど中段蹴りの練習ばかりしていたように思う。

 そこに常時稽古に来ていた仲間は、中学時代からの友達三人と高校の同級生一人と、私の弟であった。二か月ぐらい基本練習をやってから、いよいよ組手をやらせてもらえるようになったが、仲間のなかで私が一番弱かったようだ。それがくやしくて、どうしたら強くなれるか、一日中そのことばかり考えていた。そして、稽古のない日は家で自主トレーニングをはじめた。
 まず力をつけなければ駄目だと思い、それにはバーベルをやるのが一番だと考えた。が、もとよりバーベルなど調達するスベもなかったので、大谷石を見つけてきて真中に穴をあけ、これもやはり拾ってきた鉄の棒をそれに通し、手製のバーベルを作った。重さは四十キロぐらいだったと思う。

 そして、夜八時ごろになって人通りが少なくなると、家の前の路上に出て移動稽古やウサギ跳びなどをやった。人や自動車が通ると稽古を一時中断し、通り過ぎるのを待って、また始める――
こうして半年ほどたった頃、私たちの仲間は藤本さんの勧めで昇級審査を受けることになった。

 当日、日大の空手道場へ行ってみると、三十人ぐらいの学生が稽古をしていた。最初はその仲間に入れてもらい、三十分ほど一緒に稽古したが、緊張していたので何をやったか覚えていない。
 
そして、いよいよ審査になった。基本と型――平安一と二をやり、それから組手をやった。私はもう無我夢中で、ただガムシャラに相手にぶつかっていくだけだった。 

 審査のあとでまた稽古をしたが、そのとき指導に立った六十年配の人のことが、今でも強く印象に残っている。聞けば日大空手部の大先輩ということだが、一見とても空手家というイメージではなく、やさしいおじさん、といった感じなのである。

 この人の教え方には感心した。一人ひとりに噛んでふくめるように説明していたが、その中で、

「相手の攻撃を力で受けず、自分のからだを中心にして円を描いて受けるように――」

 という教えがあったが、これは、極真会館に入門して初めて大山館長からいただいたご注意と、まったく同じであった。

 さて、審査の結果だが、一緒に受けた仲間三人は五級なのに私ひとり六級で、くやしい思いをしたものである。

 この町会事務所での稽古は、その後、藤本さんの都合で急に中止となってしまったが、この藤本さんは私にとって忘れがたい人のひとりである。口笛が非常に上手で、稽古の合間の休憩時間などに、窓に腰かけて口笛をふいていた姿が昨日のことのように思い出される。また、藤本さんの空手着をあずかり、黒帯で結んだ空手着を肩にぶらさげ、得意になって街を歩きながら、自分も早く黒帯になりたいと思ったことなど、なつかしくも忘れがたい思い出である――

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